姫は 傘をさして
湖のほとりを歩いていった
一日ぐらい ひとりで散歩がしたかった
真っ白い手袋の汚れるのなんて気にせずに
落ちている枝を拾っては
ひとつひとつ 地に挿した
姫が歩けば草は枯れ
姫が挿せば草は茂った
城の全ては土くれとなり
民の全ては手に触れた
皆は触れては去るばかりで
共に寝る者などはいなかった
姫は傘を閉じて
森の奥へと入っていった
一人くらい 一緒に歩いてみたかった
A-u-Rell-a
`06.1.9
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